おみくじの起源
おみくじの起源は、平安時代、仏の教えと真理を求め、唐に渡った円仁、円珍など天台宗の僧侶たちがもたらしたものとされています。
その円仁は、難破を重ねて上陸こそできたが長期留学が許されず不法滞在になり、苦難に満ちた求法の旅は十年近くに及びました。
最後は仏教弾圧という最大の苦難も生き抜き、曼荼羅や経典など国宝を多数持ち帰っています。
この話からわかるように、命をかけた先人たちの尊い行いによって、わたしたちは今おみくじを手にすることができているのです。
おみくじにまつわる逸話
おみくじは占いの一種であるといわれ、日本ではおみくじは古来より行われてきました。
神代の昔、伊弉諾・伊弉冉の神様がこの国に降りられる際に、「よき日よき時よき方法を占い定め、下の大地に天降らせられた」とされ、また、天照大神が天の岩戸を閉ざしてお隠れになった際、天児屋命・布刀玉命が小鹿野の肩甲骨を用いる太占にをしてご神意を伺ったとされています。
何度まで引き直していい?
重大な決断を前に、おみくじで占いたくなるのは人の常です。わたしも神社に訪れると必ず引きます。
その時、良くない結果が出た場合は果たして引き直していいのか悩むものです。
現存する最古の御籤箱は、岩手県二戸市の天台寺のもので室町時代とされています。
そこには「吉凶を占うのは二度だけ」という旨が記されているそうです。
全国の変わったおみくじ
戸隠神社
こちらの記事でも紹介していますが、長野県の戸隠神社のおみくじは独特な方法で参拝者に渡されます。
御朱印などをいただく授与所の受付でおみくじを希望すると、まず数え年を尋ねられます。その後、ご神職が裏に行かれ祝詞を唱える声が聞こえてきます。
なんでも、その祝詞の中で希望者の年齢と性別を戸隠の神様に告げておみくじを引いてくれているそうです。言わば、祈祷御籤なのですね。
この戸隠神社のおみくじですが、古文で書かれているため内容の理解が大人でも少し難しいです。(子供には子供用のおみくじが別にあります)
全種類そろっているかまでは確認できていませんが、こちらのサイトで解説を公開してくださっているので確認してみると理解が深まると思います。
明治神宮
明治神宮には大御心という明治神宮独自のおみくじがあります。
これは吉凶を占うものではなく、御祭神である明治天皇様の御製(天皇の作られた詩文・和歌)と、昭憲皇太后様の御歌(皇后・皇太后・皇太子などのよまれた和歌)から、特に人倫道徳の指針となる教訓的なものが30首選ばれ書かれています。また、解説文は裏に書かれています。
ちなみに、明治天皇様は93,032首、昭憲皇太后様は27,825首もの歌をつくられたそうです。
おわりに
ちなみに、最近訪れた戸隠神社では五社巡りの際に、最初、宝光社でこの祈祷御籤をお願いしたのですが内容は良いものではありませんでした。
そのまま歩みを進め、中社に参拝した際にパンフレットに「吉凶を占うのは二度だけ」と書かれているのを見ました。
そこでわたしは最後に奥社でもう一度引き直すことにしたのです。
理由はわかりませんが、この時すでに後に引くおみくじの結果が良いものであることをわたしはわかっていたような気がします。
それは自分の足で5時間かけて奥社まで辿り着いたご褒美なのか、それともただの勘なのかはいまだにわかりません。
案の定、吉を引き、内容はほぼ大吉と言っていいほど良いものでした。
たかがおみくじ、されどおみくじですが、なんの根拠もない誰かの言葉だったとしても、それで未来にわくわくしたり希望を持てるのであればいいんじゃないかなと思っています。
良くない結果であれば気にしないでもいいし、「じゃあそうならないために自分がどう行動するか」と考えることができれば良い未来につながっていくとわたしは信じています。
おみくじの結果に左右されるのではなく、何か気づきを与えられるものとしてみなさんがおみくじを楽しんでいただけたらなと思います。
追伸:お寺や神社に訪れた際は、おみくじの前に必ず参拝してくださいね!近年の御朱印ブームもそうですが、参拝せずに御朱印だけいただく方が多くて少し悲しくなります。
おみくじは神様からのメッセージで御朱印は神様とのご縁の印です。いただく前に必ずご挨拶を忘れずに、ですよ。
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